北海道根室市企業インタビュー

株式会社大倉マーケティング事業部 勝井

現在、株式会社大倉は販路拡大を目的とし、全国各地の生産者や企業とのつながりを強化しています。

今回9月に弊社でもお取引のある株式会社カネイチ武藤商店様含め北海道根室市の4社の企業訪問を実施しました。その際のインタビューを掲載します。

目次

株式会社カネイチ武藤商店

株式会社カネイチ武藤商店
株式会社カネイチ武藤商店
  • 〒087-0032 北海道根室市花咲港198
  • 代表取締役 武藤秋一様 
  • 事業内容: 海産鮮魚加工卸売

北海道根室市の名産「花咲ガニ」や水揚げ日本一の「みずだこ」や「やなぎだこ」を取扱う株式会社カネイチ武藤商店武藤社長にお話をうかがいました。

※やなぎだこの下処理加工/サンマの水揚げ/市場視察などに伺いました。

─ 大切にしていること

品質の良い自信のある商品だけがお客様に届くように徹底しています。まずは鮮度管理に関して、武藤社長が目利きして仕入れた原料をさらに加工の段階で選別しています。

原料の中で規格には合わないけれど品質に問題がないと選別したものはマルシェ店での商品として活かしています。鮮度のいいものを多くのお客様に食べてもらいたいというこだわりがあります。

また温度管理も高い品質の商品を作り続ける上で大切にしています。そのため、夏も涼しく過ごしやすい根室地域であっても干物加工は行いません。加工に携わる従業員の一人ひとりがプロ意識を持って仕事をしている自信があります。

武藤秋一様 インタビュー

─ 根室のスーパー「マルシェ・デ・キッチン」について教えてください

カネイチ武藤商店は工場での加工だけではなく、マルシェ・デ・キッチンでの鮮魚コーナーを担当しています。

マルシェ・デ・キッチンは根室でも観光客だけでなく地元の方にも人気のあるスーパーで花咲ガニ、鮭などが人気の商品です。

マルシェ・デ・キッチンでの鮮魚コーナー
マルシェ・デ・キッチンでの鮮魚コーナー

─ 事業の中で困難な事

 タコの漁獲量は気候によってかなり変動があり、今年は赤潮の影響が大きかったため例年より減少しています。その中でも品質の高いものを出し続ける事は変えられないので原料の確保に頭を悩ませています。

また、人材の確保にも困難が生じています。8.9月は昆布漁が最盛期でそちらに人材がいってしまうため人が足りません。年末年始の準備でこちらも忙しさのピークに差し掛かるので本当に大変です。

外国人の従業員の採用をしているところも多いですが、ここの加工場は一日に同じ物、同じ作業ということが少なく、それに対応出来る人材を育成出来るか言葉の壁もある中で不安が残ります。

加工場の様子

─ やりがいを感じる時これからの展望

日々競り場に足を運び、原料の目利きをしている中、入札の場で1.2円で決まる世界なので自分の相場観が当たったときは嬉しく思います。

今後は時代に合わせた様々な事に挑戦していきたいという思いがあるので全国に出向き沢山の事を吸収していきたいと考えています。

直近では、マルシェ店でのお弁当(魚惣菜)に力を入れています。根室地域の精肉や青果と協力して今までにないボリューム感や新鮮さをアピールした商品作りを目指しています。

今やりたい事をすぐに実行してみることがモットーです。

生うに加工販売 鳴瀬商店

生うに加工販売 鳴瀬商店
生うに加工販売 鳴瀬商店
  • 〒087-0037 北海道根室市穂香13-3
  • 代表取締役 鳴瀬元治様
  • 事業内容: 生うに加工販売

北海道根室市にはうにの加工会社が80社ほどあり、全国的にみても多くがこの根室市に集まるほどうにの加工生産が盛んな地域。しかしながら、根室市の人口は約23,000人と年々減少し、水産会社でのミャンマーやインドネシアの外国人労働者の採用も増えています。

数年前に脱サラし、2ヶ月前に新事務所に移転しこだわり持って仕事をする鳴瀬社長にお話をうかがいました。

─ こだわりを教えてください

鳴瀬商店の品質の高い弁当箱と呼ばれる業務用折詰生うにを生産するにあたって、特にこだわっていることは「水」です。

うにの身が緩んで鮮度が落ちないように、冷水を循環させる機械設備を取り入れ、1日に3tもの塩水を冷水で加工を行っています。

鳴瀬元治様のインタビュー

─ 今後の目標は

販路を拡大し、売上1億円増が目標です。

タクミ水産株式会社

タクミ水産株式会社
タクミ水産株式会社
  • 〒087-0037 北海道根室市穂香138番地
  • 代表取締役 寺島拓史様
  • 事業内容: サンマ・タラ・干物加工販売

昨年、過去最低の漁獲量だった「サンマ」。前年同期比40%増でスタートした今年の漁獲も、ここ10年で比べると2割程度であり、依然として厳しい漁が続いています。

サンマ水揚げ量日本一を誇る北海道根室市のタクミ水産株式会社寺島社長にお話をうかがいました。

─ ここ数年のサンマの水揚げについて教えてください

全国のサンマ水揚げ量は4年連続で過去最低を記録、豊漁だった2008年に比べると約19分の1という不漁に見舞われています。全盛期には花咲漁港に1日に数千tのサンマが水揚げされることもありましたが、ここ数年は100t~200tまで落ち込んでいます。またサイズも小さく、値段もかなり上がってしまっている状態です。

理由は様々あると言われていますが根室からでる漁船が、ウクライナ・ロシアの戦争の影響で、以前よりロシア海域に近づき辛くなり漁が出来る範囲が狭くなっていること、中国船が増え日本の海域にサンマが来る前に取られてしまうことなど、気候だけではなく世界的な情勢にも左右される現状があります。

─ 事業内容に変化はありましたか

以前のこの時期はもちろんサンマの加工がメインでしたが、水揚げ量の減少に伴い加工量も減少しました。現在は11月からの鍋の季節に合わせ、真鱈及び白子の加工が最盛期を迎えますので、真鱈の加工にも力を入れております。

加工された食品

─ 今後の目標は

北海道根室ブランドを全国に広めていくことを目標としています。サンマの水揚げ量減少や、漁師の後継者不足問題など様々な課題がある中、粘り強く続けていくことをモットーに根室市の水産業を支えていけたらと思います。

花咲運輸株式会社

花咲運輸株式会社
花咲運輸株式会社
  • 〒087-0032 北海道根室市花咲港110
  • 代表取締役 岡田真人様
  • 事業内容: 北海道内の運送

北海道根室の流通を支える花咲運輸株式会社。創業100年の歴史を持つ花咲運輸の岡田社長にお話をうかがいました。

─ 北海道根室の運送業界を教えてください

根室市には花咲漁港で揚がった水産物や製品を、北海道の内便で運送していた運送会社がたくさんありましたが、サンマの水揚げ全盛期の頃に比べ、半分ほどになってしまいました。

─ その他の事業についてお聞かせください

しいたけの栽培事業をしています。日々運送事業をやっていて荷主と物流がより良い関係を構築するために荷主目線でものごとを考えたのがきっかけです。

現在8年目となったこの事業はグリーンアイ認証を取得し、イオンなどの大手スーパーとの取引もできる商品となりました。

代表取締役 岡田真人様へのインタビュー

─ 今後の目標は

荷主や地域との信頼関係を継続し、地元根室で頼られることを目標としています。働いている社員にも目を向け社会的責任を果たす、長く働ける会社づくりを心がけています。

最後に

サンマの水揚げ

今回、北海道根室市の企業訪問を実施させていただき地元根室や水産物への熱い思いが伝わってきました。しかしながら同時に、漁獲量減少や後継者不足など直面する問題の多さも痛感致しました。

花咲ガニやサンマだけでなく、「北海道根室」というブランドを拡大していくにあたって、株式会社大倉がお役に立てるよう尽力していきたいと思います。

ご多忙の中、ご協力いただきました北海道根室市の企業様に、心より御礼申し上げます。

今後とも長いお付き合いを何卒宜しくお願い致します。

関連記事

目次